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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
少女の声が反響するのと同時に、童は背後からこつりと軽い拳骨を貰い、「やべっ」と口の中で小さく呟き振り返った。
そこには、本来自分が準備するはずの盥(たらい)を抱えた禊の姿。
「お喋りもお前の仕事の内だが、優先順位を間違えるな。それから言葉遣いも改めろ」
「はーい……」
自分のせいで怒られてしまった童に、少女は慌てて禊を止める。
「待って、この子を怒らないで。私が呼び止めたの……ごめんなさい。それにあなただって……そうやって普通に話せるの、少し安心した」
「……湯を」
それに禊は呆れ混じりの溜め息を一つ吐き、童に短く指示を出す。童はありがと、と少女に笑い、また少女が悪戯そうに笑むのを見るとますますに元気を増したように駆けていく。
そうして繰り返し繰り返し盥に湯水を溜め、適温になった辺りで禊は少女の傍らに跪いた。そしておもむろに、少女が纏う羽織に手を掛ける。
「失礼致します。御髪(みぐし)から清めさせて頂きますので──」
「っ!? ちょ、ちょっと待って」
「はい?」
しかしそれに驚いた少女は慌てて禊に向き直って動きを制止し、殊更に羽織を握りしめておずおずと口を開いた。
そこには、本来自分が準備するはずの盥(たらい)を抱えた禊の姿。
「お喋りもお前の仕事の内だが、優先順位を間違えるな。それから言葉遣いも改めろ」
「はーい……」
自分のせいで怒られてしまった童に、少女は慌てて禊を止める。
「待って、この子を怒らないで。私が呼び止めたの……ごめんなさい。それにあなただって……そうやって普通に話せるの、少し安心した」
「……湯を」
それに禊は呆れ混じりの溜め息を一つ吐き、童に短く指示を出す。童はありがと、と少女に笑い、また少女が悪戯そうに笑むのを見るとますますに元気を増したように駆けていく。
そうして繰り返し繰り返し盥に湯水を溜め、適温になった辺りで禊は少女の傍らに跪いた。そしておもむろに、少女が纏う羽織に手を掛ける。
「失礼致します。御髪(みぐし)から清めさせて頂きますので──」
「っ!? ちょ、ちょっと待って」
「はい?」
しかしそれに驚いた少女は慌てて禊に向き直って動きを制止し、殊更に羽織を握りしめておずおずと口を開いた。