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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
「あっ……あの、ここまで運んでくれたのは嬉しいけど……準備もしてもらったし、あとは一人でも大丈夫だから……」
「いえ、身の回りのお世話は全て私と童にてさせていただきます。更に湯浴みに限って申し上げれば──普通、貴人は自ら体を洗ったり湯を流したりということはなさいません」
「嘘」
「本当です」
その有無を言わさぬ物言いに、少女は瞬きすら忘れ固まってしまう。
 確かに洞主の言葉を受け入れ、禊や童にしばらくの時を委ねようと思った。それが正しいと──感覚で理解はしていた。しかし自分と近しい年程の異性に体を洗って貰うなど、そこまでは考えていなかった。
 けれども禊が嘘を言っているとも思えない。ならば洞主も禊には任せなかっただろうし、多分また自分の感覚がおかしいのだろう。
「……ここではそれが普通なの? 私……また変なこと言った?」
「変……というより、流れ着いたばかりの水蛭子があまり持たない感情ですので。ただもしも……ですが、男の禊に肌を晒すのに抵抗がおありのようでしたら、湯浴みには女の禊を入れさせます。今までも、稀にそういうことがありました」
「ん……と。……違うの。確かに恥ずかしいけど……」
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