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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
 ここではそれが普通で、一から十まで禊を頼れと言うなら……きっと“生まれたばかり”の自分がすべきことは、彼に心を許し、身を任せることなのだろう。
 ただ……一番の問題は。
(どうしよう……)
あのとき日嗣に言い付けられた言葉だ。
 日嗣は絶対にこの右肩を人目に晒すなと言っていた。良くないものだからと。しかし今羽織を手放せば、確実にそれを禊と童に見られてしまう。そうなったら二人は自分をどうするだろう。二人に知られれば、きっと洞主の耳にも入るだろう。
 そんなに良くないものなら、嫌がられてしまうのではないか。あんなに優しくしてもらったのに、失望されてしまうのではないだろうか。
 少女はそれを想像してうつむき、乞うように呟いた。
「……禊。お風呂……一人で入るの、どうしてもだめ?」
「決まりですので」
「……」
 しかしそれきり何かを考えるようにうつむき、黙り込んでしまう少女に、禊の脳裏にある一つの予感が走る。
(まさか──有り得ない)
だが目の前の少女は先程から頑なに、神の若穂色の羽織を握りしめている。
 小さく息を呑めば、異変を感じたのか童も側に寄ってくる。禊はそれを許し、改めて姿勢を正すと少女に向かって逆に問うた。
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