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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
「……巫女は天上におわす神々に信仰を捧げ、歌舞、遊興にてその御霊を慰むるもの。神々の意に添わば、身の回りの世話をする采女(うねめ)や祭祀を補佐する天上人として高天原に召し上げられることもございます。いわば神に準ずる者。故にこそ……神に救われ、その才を持つ貴女は尊ばれる」
「だけど……。巫女だから……禊だからって、……たった……たったそれだけで?」
「はい」
「…………」
この巨大な社といい、おそらく神々を中心に回っているのだろう世界の不可思議な理や人との関係に、少女は今更ながらたじろぎ困惑した。
 嘘だと突き放すことも、おそらくできたのだろうと思う。
 けれどもそれをしたら、今度は何か別なもの……人智の及ばぬ何かに自身が消されてしまいそうな気がして、得体のしれない恐怖がわき起こる。
「……」
そして最終的に少女の心が求めたのは、それこそ……幼い子供が親に持つような、無条件に絶対的な──安心感や信頼感だった。
 「二人とも……私のこと嫌いになったりしない? 本当に……裏切ったりしない?」
「致しません」
その問いに返されたのは、一直線に自身を見つめる禊の真摯な眼差しと淀みない言葉。
「……。……分かった」
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