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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
 そうして少女は、半ば開き直ったように気が済むまでゆったりと湯につからせてもらい、しばらくの後──
「髪もできる限りお伸ばしになって下さい。御令孫しかり、髪には神威が宿るもの。きちんとお手入れ致しましょう」
「でもあなた達は短いのに。……服、似合う?」
「私達は仕事を優先していますので。そして衣装というものは、どなたが着てもある程度は見栄えがするように出来ております」
洞主の言った通り、少女がこちらの世界の装束を着せられ玉のような姿を見せる頃には、空と海は青から橙色へとその様を変化させていた。
 「……ねえ童。あなたのお兄さんて、根がちょっと意地悪なんだね」
「うんそう、気付いた? それにあまのじゃくなんだよ。すげえ似合うって」
「……一ノ弟」


【3】

 八尋の大社の更に奥──そこにはここで働く巫女や覡、その禊や童達が寝食を共にする棟や、水蛭子達の仮の住まいとなる屋敷が建っていた。
 また祭具を取り扱う社殿や献上された穀物や宝物を納める倉など大小いくつもの建物が点在しており、それらをまとめて奥社という。
 今は直接祭祀に関わる位の高い巫女やその禊達しか残ってはいないが、かつては小事でも大社に関わる全ての者が共同生活を営んでいた。
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