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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
少女はいまいち上下関係の幅が分からず禊の言葉に首を傾げるが、ただ禊が言うならそれもそうなのだろうと何となくそれを呑み込んだ。
「じゃあ、池の魚にご飯あげてもいい?」
「その程度でしたらいくらでも。ですがまずは貴女のお食事を」
「あ……そっか」
そうして禊に促され、少女は運ばれた膳の前に座す。
膳には若葉の絵付けがされた小さな土鍋と塩や味噌などが乗る小皿、更に菜物のおひたしにかぼちゃの煮物が並んでいた。そしてもう一つの小さな高坏(たかつき)には、綺麗にむかれた瑞々しい桃。
既に野菜や穀物が柔らかくほころぶいい香りがしていて、今更ながら少女のお腹が鳴る。
「……聞こえた?」
「聞こえた~」
「今日はお疲れでしょうから。体に負担の無いよう粥にしてもらいましたので、しっかり召し上がってよくお休みになって下さい」
禊が土鍋のふたを取ると、目の前が一瞬白く染まる。濃い米の香りがわき立ち、少女は何故か懐かしさのようなものを感じた。
中はまだふつふつと泡が立ち、米は艶やかさを失わないまま夕日の色を反射している。
「じゃあ、池の魚にご飯あげてもいい?」
「その程度でしたらいくらでも。ですがまずは貴女のお食事を」
「あ……そっか」
そうして禊に促され、少女は運ばれた膳の前に座す。
膳には若葉の絵付けがされた小さな土鍋と塩や味噌などが乗る小皿、更に菜物のおひたしにかぼちゃの煮物が並んでいた。そしてもう一つの小さな高坏(たかつき)には、綺麗にむかれた瑞々しい桃。
既に野菜や穀物が柔らかくほころぶいい香りがしていて、今更ながら少女のお腹が鳴る。
「……聞こえた?」
「聞こえた~」
「今日はお疲れでしょうから。体に負担の無いよう粥にしてもらいましたので、しっかり召し上がってよくお休みになって下さい」
禊が土鍋のふたを取ると、目の前が一瞬白く染まる。濃い米の香りがわき立ち、少女は何故か懐かしさのようなものを感じた。
中はまだふつふつと泡が立ち、米は艶やかさを失わないまま夕日の色を反射している。