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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
 ならばできる限り甘やかしたいと思うのだが、一度禊にも注意されたし、自分ではその匙加減がよく分からない。
 そして考えた末──
「ねえ童、桃食べない? 私甘いのが好きだから、味見してくれたら嬉しいな」
「だからダメだって言ってんのに、姉ちゃん嘘下手なのな」
「あ……やっぱり駄目?」
「いやさ……ダメじゃないけど。そういうふうに言われたら一ノ兄や俺は断れないもん」
「本当? 良かった、じゃあ半分こね」
 ──と、せめてこれくらいはと甘い桃を二人で分け合って、後は童に導かれながら寝る前の支度を済ませ禊の帰りを待つことにしたのだが、
「姉ちゃん、目がしぱしぱしてるよ。寝る?」
「ん……大丈夫」
「無理しなくていいよ、いろいろあったし。俺準備するから」
「……うん。……ありがとう……」
疲れもあってか、やがて……睡魔に襲われ、眠ってしまったのだった。

***

 その頃洞主は、同じ奥社内にある特別な社務所にて未だ執務を行っていた。
 奥社の中でも奥の奥──社の改修などに使われる檜を育む山、表の社とは異なる御神体が祀られた祭壇など、淡島の中でも特に重要な場所に繋がる境界の社務所。
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