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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第4章 底にあるもの
「穢れとは何か、一言でご説明するには難しい問いですが……例えばそれは、季節ごと巡りで自然にやってくるものもありますし、摂理の中に組み込まれているものもあります」
「えっと……。てことは、どこにでもあるものなんだね」
「左様です。人の中にさえも」
「……」
それは水滴となって、少女の心の水面にぽつりと落ち波紋を起こす。ならば──あの黒くてどろどろしたものは、自分の心の底にも泥土のようにこずんでいるのだろうか。
少女の沈黙を相槌代わりに、禊は更に言葉を続ける。
「結論だけ簡単に申し上げるなら、穢れとは忌むべきもの、避けなければならないものです。いずれきちんとお話致しますが、例えば人の死──でしょうか。これは摂理に含まれるものです」
「じゃあ、自然は?」
「こちらはその形も様々ですが──例えば田畑の虫害や、穀物の病。或いは季節の変わり目など、文字通り勢力を誇っていたものの“気が枯れる”事象──などと申し上げれば、ご理解頂けますか」
「うん……なんとなく。でも、春が終わっても夏が来る。夏が終わっても秋、秋が終わっても冬が来て、そうしたらまた春でしょう?」
「はい」
「……」
「えっと……。てことは、どこにでもあるものなんだね」
「左様です。人の中にさえも」
「……」
それは水滴となって、少女の心の水面にぽつりと落ち波紋を起こす。ならば──あの黒くてどろどろしたものは、自分の心の底にも泥土のようにこずんでいるのだろうか。
少女の沈黙を相槌代わりに、禊は更に言葉を続ける。
「結論だけ簡単に申し上げるなら、穢れとは忌むべきもの、避けなければならないものです。いずれきちんとお話致しますが、例えば人の死──でしょうか。これは摂理に含まれるものです」
「じゃあ、自然は?」
「こちらはその形も様々ですが──例えば田畑の虫害や、穀物の病。或いは季節の変わり目など、文字通り勢力を誇っていたものの“気が枯れる”事象──などと申し上げれば、ご理解頂けますか」
「うん……なんとなく。でも、春が終わっても夏が来る。夏が終わっても秋、秋が終わっても冬が来て、そうしたらまた春でしょう?」
「はい」
「……」