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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第4章 底にあるもの
 童が言うには一の字を掲げる“禊”は極端に数が少ないと言うし、そういう厳しさも含めて本当に優秀なのだろう。そして何故そんな禊が自分に付いてくれたかと言えば、やはり二柱の神に拾われたことが大きいらしい。
 「──ていうか、今まで一ノ兄が世話してきた巫女さん達はみんな変わってた気がする。さすがに神様に拾われたってのは初めてだけど、問題児っていうかさ」
とは童談だが、なら自分もその問題児の内の一人に入るんだ、とちょっと複雑な気持ちにも陥った。
 (──それにしたって、もうちょっと口と愛想と態度が良ければ、きっと沢山の女の子に好かれたんだろうに)
と、少女は内心で大きなお世話を焼きながら、禊に従って蝉時雨の中を歩む。
 森の中にあり、道も大小複雑に絡み合っている奥社。標(しるべ)も無く、最初の言い付けを破って一人で出歩いていては確かにすぐに迷子になっていただろう。
 そして木立の合間の細い路を抜ければ、そこがここ数日でほんの少し見慣れた仮宿だった。
 「──あ、姉ちゃん、一ノ兄! おかえりー!」
「ただいまー!」
近くまで行けば垣根越しに、留守番をしていた童が手を振って迎えてくれる。
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