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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第4章 底にあるもの
布団に入ってからどのくらいの時間が経っているのだろう。ただこの暗闇では、まだ起きる時間ではないのは確か。
 少女は寝返りを打って再び睡眠を求めるが、異変はますます体に覆い被さってくる。
(……眠い……のに)
眠りたいのに。
 何だか急に体が熱くなって、ふわふわとした浮遊感が内側でわき起こりそれを許してくれない。
 なにか甘酸っぱい、お菓子のような香りもほのかにする。眠る前にはこんな匂いあっただろうか。
 でもそれを意識すればするほど……体がぐずぐずと細かな疼きに襲われていく。
「……っく」
 ──これは──あの時と同じだ、と少女は思う。
 あの黒い肉塊と化した小さな龍に襲われた時。身体の内側、そのずっとずっと奥に大切に秘めてあるものを無理矢理にこじ開けられていく、虚しく乱暴な感覚。
 「は……ぁっ……、んん……」
少女は落ち着きなく寝返りを打ち、身を縮めてそれをやり過ごそうと枕に顔を埋める。それでも甘い香りは、少女の心も体もほんの僅かな隙間を見つけすり抜けてくる。
(……日嗣様)
何度ももどかしく体の位置を変え、気付けば、自然と手が右肩に触れていた。
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