この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第4章 底にあるもの
 室内には香の甘い匂いと、湯殿で使った石鹸の香りを含んだ女の香(か)がこもっていた。そして時折、男の芯を震わせるような、吐息混じりの嬌声が耳をくすぐってくる。
 それでも毒のように感じないのは、まだその部屋の主が女として成熟しきっていないからだろう。
 香炉を見れば、線香はもう尽きかけようとしていた。
 と、その時──
 “──…日嗣様……っ!!”
「……!」
微かに聞こえた少女の声に、禊は香炉に伸ばしかけた手をびくりと止める。
「…………」
 今まで耳にしたことのない少女の艶声に求められた、一人の男神。
 神を乞い……慕うのは紛れもなく巫女としての業だが、ただそれでも、心の奥底より形容し難い感情が滲み出すのを禊は感じていた。昼も夜も──求められたのは自分ではない。
 蚊帳の方に目を遣れば、少女は闇に埋もれるように寝具に隠れ、その身を小さく震わせていた。
 心は無垢なまま、神の味を覚えさせられてしまった器と魂は、これからどこへ向かうのだろう。
 いつもいつも──禊が大切に思うものは、全て神々に奪われていく。けれども逆らえない。抗えもせず、人としても生きられず、ただ傀儡のように動き待つだけ。百年でも二百年でも。
/298ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ