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愛しのキスは蜜の味~sequel【完結】
第17章 募る不安

奈緒美さんは顔を背けながら録画ボタンを止めようと手を延ばし…鏡也君はビデオを操作しながらそれを手で防ごうとしてるの……
「………!?…」
まるで夫婦でじゃれ合ってるみたい──
「まあ~!華ちゃんのパパとママ仲が良いこと」
「「………ぇ…」」
奈緒美さんのママ友かな?
突然後ろから鏡也君達に声が掛かった!
2人ともその声に驚いて慌てて振り返る。
「あら─やだっ…ごめんなさい!後ろ姿が華ちゃんパパにそっくりだから、てっきり……」
「やだ…違うわよ…主人の弟なの」
「ど、どうも、今日は兄貴の代役で……アハハ」
「そうだったの?いいわね仲良しで……じゃまた後でね」
「……!!」
「もうっ鏡也君がふざけるから」
「ごめん」
こんな時、私はどうすればいいの?──
ただ2人の姿を見てるだけで声も掛けられない……
〝はぁ~!〟
無意識に出た溜め息。
それを聞いた鏡也君が振り返ってきたけど…
私は……気づかないふりして咄嗟に眼を逸らした。
「葉瑠、あの……」
「トイレ!……行って来る」
〝え、もう始まるよ〟
鏡也君の声が背中越しに聞こえたけど…
わかってる、そんなの。
構わずお遊戯室を飛び出しトイレに駆け込んだ。
///
「ふぅ~」
なんとか落ち着こうと大きく息を吐いた……
あれくらいの事で…私、何を気にしてるんだろう。
鏡に写る自分の顔……あ~ひどい。
眉間にシワがよって、なんて怖い顔してるの。
さっきのママさんの言う通り─義理とはいえ姉弟なんだから仲良くてあたり前─
今日は太郎君と華ちゃんの晴れ舞台なのに…
私がこんな顔してたら台無しになっちゃう!

