この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しのキスは蜜の味~sequel【完結】
第17章 募る不安

「兄貴はひとりで行くつもりらしい…」
「え?…ひとりって…なんで」
言葉も通じないし知り合いだって誰もいない。
それに太郎は4月から小学校だ。
友達と学校に行ってサッカーも習いたいって楽しみにしてるのに可哀想だって。
そりゃ家族揃って行く方がいいに決まってるけど、
「奈緒美さんが行かないって言ったの?」
奈緒美さんにはまだ……
帰ったら話をするって言ってたから
夕べのうちに聞いてるとは思うけど……
「たぶん奈緒美さんには残るように言うと思う」
「そんなの勝手に決めて…いいの?それで」
***
きっと奈緒美さんならお兄さんと一緒に行くって言うんじゃない。
「それで…兄貴が俺に頼みたいことがあるって…」
え?…
(鏡也…!…悪いんだけど、俺が転勤した後…何かあったら…奈緒美の力になってやってくれないか?)
(俺がいないとお袋達に遠慮すると思うんだ)
それってどういう意味?
じゃ、これからも電話したり…何かあったらパパの代わりをして…
ずっと続くっていうこと?
お兄さんが家族を心配するのはわかるけど、そんな大事な事を一人で決めて勝手すぎる。
ちゃんと話し合ってから決めてよ!
それに……お兄さんにそんな事を言われたら…
鏡也君は…
きっとそれを受け入れる。
ううん、もう多分決めてる。
可愛い甥っ子達の為だもの。
断るわけがない!
バカな私だって…それくらいはわかるよ。
「鏡也君は…何て言ったの?」
「俺は……協力出来ることはするけどって………」
やっぱり、そっか……そうだよね!
「あ、でも俺だって暇じゃないし、出来ないこともあるから…」

