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愛しのキスは蜜の味~sequel【完結】
第17章 募る不安

「兄貴はひとりで行くつもりらしい…」
「え?…ひとりって…なんで」

言葉も通じないし知り合いだって誰もいない。

それに太郎は4月から小学校だ。
友達と学校に行ってサッカーも習いたいって楽しみにしてるのに可哀想だって。

そりゃ家族揃って行く方がいいに決まってるけど、

「奈緒美さんが行かないって言ったの?」

奈緒美さんにはまだ……
帰ったら話をするって言ってたから
夕べのうちに聞いてるとは思うけど……

「たぶん奈緒美さんには残るように言うと思う」

「そんなの勝手に決めて…いいの?それで」


***
きっと奈緒美さんならお兄さんと一緒に行くって言うんじゃない。

「それで…兄貴が俺に頼みたいことがあるって…」
え?…

(鏡也…!…悪いんだけど、俺が転勤した後…何かあったら…奈緒美の力になってやってくれないか?)

(俺がいないとお袋達に遠慮すると思うんだ)

それってどういう意味?
じゃ、これからも電話したり…何かあったらパパの代わりをして…

ずっと続くっていうこと?

お兄さんが家族を心配するのはわかるけど、そんな大事な事を一人で決めて勝手すぎる。

ちゃんと話し合ってから決めてよ!

それに……お兄さんにそんな事を言われたら…
鏡也君は…

きっとそれを受け入れる。

ううん、もう多分決めてる。

可愛い甥っ子達の為だもの。
断るわけがない!

バカな私だって…それくらいはわかるよ。

「鏡也君は…何て言ったの?」

「俺は……協力出来ることはするけどって………」
やっぱり、そっか……そうだよね!

「あ、でも俺だって暇じゃないし、出来ないこともあるから…」

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