この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しのキスは蜜の味~sequel【完結】
第17章 募る不安

じゃその時は、私はそれを近くで見てなきゃいけないんだ。
「分かった」
「え?分かったって……いいの?」
私を抱きしめてた腕が離れて顔を覗き込んでくる。
いいも何もないじゃない。
「話は分かったから、鏡也君の思う通りにしたらいいよ、私…頭が痛いから、もうちょっと寝るね」
「あっそうかごめん」
私にすべてを話してスッキリしたんだね、鏡也君は安心したように私の世話を焼こうとする。
「なにか食べたい物があったら言って…俺が作ってやるから」
ブンブン……なにもいらない。
「鏡也君!私はもう大丈夫だから会社に行って、これ以上休んだら後が大変だよ?」
ほんと大丈夫だから
「そう?……ひとりで大丈夫か?」
うん、
「じゃ行って来る?…おとなしく寝てるんだぞ」
なるべく早く帰って来るから!
コクン
バタン……
それから鏡也君は急いで出掛けて行った。
はぁ~パパの代わり……
太郎君と華ちゃんの事を考えたら
私がイヤなんて言えるわけないじゃない。
頭ではわかってるけど…私きっとイライラして嫌な態度をしちゃうかもしれない。
昨日みたいに!
まだ決まった訳じゃないけど…お兄さんはひとりで行くつもりなんでしょ?
だったら私に、選択肢なんて……ないじゃない。
私の大好きな鏡也君は…
私だけの人じゃなくなっちゃうんだ。
私が我慢すればいいだけの話……でも
今は、それに耐えられる気がしない……
ズキンズキン……
痛っ、頭が…何かで殴られたようにズキズキする
ベッドに横になると自然と涙が溢れてくる。
これは夢、熱のせいで悪い夢を見てるんだ……
夢なら…お願い早く覚めて。

