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あの口づけは嘘じゃない。
第3章 2人で会うけどデートじゃない


「そんな緊張しなくて良いのに。この間の威勢はどこ行ったの?
…あ、ねぇ好きな歌手とかいる?」

この間のことを言われて、急に恥ずかしくなる。あぁ、もう今絶対に顔赤い。

緊張してる私とは対象的に、余裕の宮下さん。
すごく悔しい。

「好きな歌手ですか…、うーん、米○玄師さんとか。」

「ん、俺も好き。趣味合うかもね。
よし、じゃあBGMはこれで決定だな。」

”俺も好き”

何気ない言葉が、なんでだろう、嬉しい。
他の趣味も合えば良いなぁなんて思いながらカーステレオをいじる宮下さんを見つめる。

長くて綺麗な指。ボタンを押しているだけなのに、それだけで色っぽい。

あの手に触れたいな。

そう思って手を伸ばしかけた時。
米○玄師の曲の中でも私が1番好きな曲が車内に流れ始めた。

「俺この曲が1番好きなんだけど、愛菜ちゃんはどう?」

「私も、この曲が1番好きです。急に流れてきたからびっくりした…」

急に流れてきたことというより、好きな曲まで同じだったことの方がびっくりなんだけど。

…まるで運命、みたいだなぁと。
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