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あの口づけは嘘じゃない。
第2章 始まり
「愛菜ちゃん、だっけ?
…はい、これココア。車で送っていってあげるけど、体冷やさないように気をつけて。」
「わっ、ありがとうございます。あ、でも1人で帰れるので大丈夫です。助けてもらえただけでもホントにありがたいので、これ以上迷惑かけるわけには…」
「何言ってんの?こんな可愛い女の子、夜道に放置なんて出来るわけないじゃん。
さっきも襲われかけてたし、また同じような目に遭わせたくないから。
家特定されるのが怖かったら近くまでとかでも。とにかく1人では帰らせないよ。」
「…ではお言葉に甘えて…。」
サラッと“こんな可愛い子”とか言える人なんだな、と思いながら彼の後を追って車に乗り込む。
彼は宮下邦彦と言う名らしい。こう言っちゃなんだけど彼に似合わず平凡で、勿体無いなと思ってしまった。
悪い人ではなさそうだったし、またあんな目に遭うのは嫌だったから。
それはもう少しこの人の側に居たいという思いを正当化するための理由に過ぎなかったけど、それでもいい、もっと話してみたいと思った。