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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第4章 エッフェル塔の恋人
エッフェル塔が一望出来るグランドホテルの部屋で、光はぼんやりと、窓の外を眺める。
先年のパリ万国博覧会の象徴として建てられたエッフェル塔が夜の帳の中、その幻想的なネオンを光り輝かせていた。

背後にいる縣が苦しげに口を開いた。
「…やはりよそう。…何があるのか知らないが、こんなところで君と二人きりは良くない」

リネンがきちんと設えられたダブルベッド…。
窓際のガレのランプが夜の艶やかな雰囲気を醸し出し、縣を落ち着かなくさせる。

光はゆっくり振り向いた。
今夜の光は黒い絹のドレス姿…ぞっとするほど美しいその顔には常にない、凄味のようなものがあった。
「…待って…」
壁際の時計を見る。
…9時半…もうすぐだわ。

「…私は下のロビーにいる。…用があるときに呼んでくれ」
言葉少なに言い捨て、去ろうとする縣の腕を掴む。

軽い足音、それに続く密やかなノックの音…。
…間違いない。

縣が振り返る。
光は有無を言わさぬ強さで、縣を引き寄せ抱きつく。

ドアの鍵はかかっていない。
ゆっくりとノブが回り、開かれる。
「…ヒカル…?いるの?」

光は、はっとドアの方を見返る縣の首に腕を回し、顔を引き寄せた。
「…縣さん、愛しているわ…」
驚きに目を見開く縣に、自分から強引にくちづける。
「…光…さ…」
離れようとする縣の身体を強く引き寄せ、尚もくちづける。

「…ヒカル‼︎」
フロレアンの蒼く美しい眼が驚愕に見開かれる。
光は縣と濃密にくちづけしたのち、ゆっくりと振り返る。
「…あら、早かったのね。フロレアン」
光が美しく謎に満ちた眼差しで、フロレアンを見遣る。
「ヒカル!な、何をしているんだ!アガタと…!」
光は縣の胸に縋ったまま、小さく笑う。
「…察しが悪いわね、分からない?…私、縣さんとお付き合いすることにしたの」
「…ヒカル‼︎…嘘だ!なぜそんなことを急に言い出すんだ!」
フロレアンが光に近寄り、腕を掴む。
「嘘じゃないわ、本当よ。…貴方の勘は当たっていたの。…私、縣さんが好きなの。…ハンサムでお金持ちで優しくて…」
光は妖しく微笑みながら、縣の顔を愛おしげになぞる。
縣の端正な顔は彫像のように動かない。
強い眼差しを受け止めながら、光は続ける。
「…悪いんだけど、私、もう貧乏暮らしは嫌なの。疲れたの」
「…ヒカル‼︎」
フロレアンが痛いほど光の腕を掴む。

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