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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第4章 エッフェル塔の恋人
次に目覚めた時、縣は瞼を閉じたまま無意識に隣に眠る光を探した。
…柔らかくしっとりとした居心地の良い肌になかなか触れない。
慌てて目を開ける。
広いキングサイズベッドに光の姿はどこにもなかった。
真っ白なシーツに触れる。
そこにあるはずの温もりもない。
…どこに行ったんだ…。
不安に駆られた縣はバスローブを羽織ろうと起き上がり、ふとサイドボードの上の白いメモに目が留まった。
ゆっくりと手に取る。
光の美しい文字が整然と並んでいた。
「…優しい友情をありがとう。
父と日本に帰ります。
今まで、お世話になりました」
…それだけだった。
縣は頭がすっと冷えてゆく自分を感じた。
…友情…。
そうなのか…。
光さんにとって昨日の出来事は友情だったのか。
…私の独りよがりだったのか。
縣は乾いた笑いを漏らす。
…それもそうだ。
光さんはまだフロレアンを愛しているのだから…。
私は、昨夜の辛い傷を癒し寒い心を温めたかっただけの存在…。
一夜の仮初めの恋人…。
…それでもいいと思ったから、光さんを抱いたのだ。
私は…何を過分に期待していたのだ。
…あの夜、私と光さんは確かに心を通わせ合っていたと…。
思い合っていたと…。
そして、愛し合っていたと…。
縣はゆっくりとバスローブを羽織り、立ち上がる。
窓辺に近づきカーテンを開く。
…朝霧に煙るエッフェル塔に、あの夜の輝きはどこにもなかった。
…柔らかくしっとりとした居心地の良い肌になかなか触れない。
慌てて目を開ける。
広いキングサイズベッドに光の姿はどこにもなかった。
真っ白なシーツに触れる。
そこにあるはずの温もりもない。
…どこに行ったんだ…。
不安に駆られた縣はバスローブを羽織ろうと起き上がり、ふとサイドボードの上の白いメモに目が留まった。
ゆっくりと手に取る。
光の美しい文字が整然と並んでいた。
「…優しい友情をありがとう。
父と日本に帰ります。
今まで、お世話になりました」
…それだけだった。
縣は頭がすっと冷えてゆく自分を感じた。
…友情…。
そうなのか…。
光さんにとって昨日の出来事は友情だったのか。
…私の独りよがりだったのか。
縣は乾いた笑いを漏らす。
…それもそうだ。
光さんはまだフロレアンを愛しているのだから…。
私は、昨夜の辛い傷を癒し寒い心を温めたかっただけの存在…。
一夜の仮初めの恋人…。
…それでもいいと思ったから、光さんを抱いたのだ。
私は…何を過分に期待していたのだ。
…あの夜、私と光さんは確かに心を通わせ合っていたと…。
思い合っていたと…。
そして、愛し合っていたと…。
縣はゆっくりとバスローブを羽織り、立ち上がる。
窓辺に近づきカーテンを開く。
…朝霧に煙るエッフェル塔に、あの夜の輝きはどこにもなかった。