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背徳の主
第9章 顧客NO 042257C 奈保子
奈保子はキッチンで二人分の弁当を作りながら、朝食の準備をしていた。
夫の悟郎がワイシャツにネクタイ姿でリビングを通り抜け、キッチンにある食卓テーブルに座った。
テーブルに置いてあるコーヒーを一口飲み、経済新聞に目を通す。
奈保子は忙しくテーブルにトースト2枚とハムエッグを盛ったプレートを悟郎の前とその隣に置いた。
リビングの通路からパタパタと足音が聞こえてきた。
「ママ、どうして早く起こしてくれないの ! 」
毎朝のように娘の那奈は慌てて起きてくる。
「ママは30分前に起こしました。那奈、もう高校2年生なんだから。」
ブレザーの学生服を着た那奈は、トーストを食べながらスカートの皺を手で伸ばす。
「あなたからも那奈に言って下さい。」
「もう…ママ、わかってるよ。」
那奈はうざそうに答える。
悟郎は相変わらず全く無関心で、トーストを食べながら新聞を読んでいた。
「ああ…もう時間が無いよ!」
那奈は椅子から立ち上がり、弁当を手提げかばんに入れて玄関へ走って行った。
「行ってらっしゃい、忘れ物は無いの?」
「行ってきます。」
玄関のドアの閉まる音がした。
悟郎は椅子から立ち上がり、スーツの上着を着た。
「あなた、今日は?」
「取引先との接待があり遅くなる。」
「あなた最近、帰るのが遅いわねぇ。」
「仕方ないだろう、課長になると今までとは違う。それにこのマンションのローンの支払いも有るし。」
マンションのローンを切り出されると、奈保子は何も言えない。
「分かりました。それと那奈が最近男の子と付き合っているみたいよ。」
「17歳になれば、ボーイフレンドくらいできるだろう。自然なことだ。」
「でも那奈は女の子よ。変な付き合いにならなければいいけど…」
「お前は気にし過ぎだ。」
「じぁ、行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
悟郎は弁当を持って玄関に出ると、車に乗って出勤して行った。
奈保子は分かっていた。
悟郎が今日もあの紗綾という女に会うことを…
奈保子はある日、悟郎のスマホの通信アプリをこっそり覗き見た。
アプリはログインの状態のまま、友達リストを表示した。
奈保子の見知らぬ名前「紗綾」の画面をタップするとメール履歴が現れた。
「悟郎」と「紗綾」のやりとりで奈保子は悟った。
夫は不倫をしている…
夫の悟郎がワイシャツにネクタイ姿でリビングを通り抜け、キッチンにある食卓テーブルに座った。
テーブルに置いてあるコーヒーを一口飲み、経済新聞に目を通す。
奈保子は忙しくテーブルにトースト2枚とハムエッグを盛ったプレートを悟郎の前とその隣に置いた。
リビングの通路からパタパタと足音が聞こえてきた。
「ママ、どうして早く起こしてくれないの ! 」
毎朝のように娘の那奈は慌てて起きてくる。
「ママは30分前に起こしました。那奈、もう高校2年生なんだから。」
ブレザーの学生服を着た那奈は、トーストを食べながらスカートの皺を手で伸ばす。
「あなたからも那奈に言って下さい。」
「もう…ママ、わかってるよ。」
那奈はうざそうに答える。
悟郎は相変わらず全く無関心で、トーストを食べながら新聞を読んでいた。
「ああ…もう時間が無いよ!」
那奈は椅子から立ち上がり、弁当を手提げかばんに入れて玄関へ走って行った。
「行ってらっしゃい、忘れ物は無いの?」
「行ってきます。」
玄関のドアの閉まる音がした。
悟郎は椅子から立ち上がり、スーツの上着を着た。
「あなた、今日は?」
「取引先との接待があり遅くなる。」
「あなた最近、帰るのが遅いわねぇ。」
「仕方ないだろう、課長になると今までとは違う。それにこのマンションのローンの支払いも有るし。」
マンションのローンを切り出されると、奈保子は何も言えない。
「分かりました。それと那奈が最近男の子と付き合っているみたいよ。」
「17歳になれば、ボーイフレンドくらいできるだろう。自然なことだ。」
「でも那奈は女の子よ。変な付き合いにならなければいいけど…」
「お前は気にし過ぎだ。」
「じぁ、行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
悟郎は弁当を持って玄関に出ると、車に乗って出勤して行った。
奈保子は分かっていた。
悟郎が今日もあの紗綾という女に会うことを…
奈保子はある日、悟郎のスマホの通信アプリをこっそり覗き見た。
アプリはログインの状態のまま、友達リストを表示した。
奈保子の見知らぬ名前「紗綾」の画面をタップするとメール履歴が現れた。
「悟郎」と「紗綾」のやりとりで奈保子は悟った。
夫は不倫をしている…