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第3章 思わぬ相手―眞彩side－

「二人って…付き合っているの？」

「別に…偶然会ったんだ・・・」

「その嘘、苦しくない？柚希さん」

柚希さんは稜真さんを無視する。

二人はテーブルに着く。

柚希さんの表情が一気に憂鬱になった。
稜真さんは柚希の初恋の人・彩名さんの弟。
彩名さんの死は稜真さんが発端。幼い稜真さんが川で溺れ、彩名さんは助けを呼ぼうとする最中に心臓病の発作を起こして、帰らぬ人になった。
彩名さんのおかげで溺れた稜真さんは助けられた。

私は稜真さんの妻・奈那子さんが気になった。

奈那子さん・・・噂では稜真さんの実家にある親戚の画家に描いて貰った大人になった彩名さんの想像画と顔が瓜二つらしいから。


稜真さんは必死に柚希に話し掛けるが、柚希はシカトを続けた。

私と奈那子さんは二人の険悪な雰囲気に気を揉んだ。




柚希との一方的なコミュニケーションに疲れたのか稜真さんは諦めて口を噤んでしまった。

「オーダーしたコース同じですね。柚希さん。
牛ヒレに、そのフルボディのワインは合いますか？私も稜真もワインには疎くて」

今度は奈那子さんは柚希に話し掛ける。

私は複雑なキモチで二人を見つめた。


「合うと思うけど・・・」

柚希は奈那子さんに話し掛けられ、ようやく口を開く。

「じゃ俺達も柚希さん達と同じワイン、オーダーするか…奈那子」

「そうね」

「勝手にしろ」と言わんばかりにプイッと稜真さんから顔を逸らした。