この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
小悪魔な狼
第1章 一話 翻弄

腹の底からムクムクと湧き上がってきた酸のような感情を、気がつけば早口にまくし立てていた。
「何もふることないじゃない。どうせあの子だって他の男と――」
「そこまで」
黙って、というように、宮地が私の唇に指を押し当てた。長くて綺麗なそれに不覚にもどきりとしてしまったのだが、次いで彼が漏らした言葉は、私を呆れさせるには充分なものだった。
「何ムキになってんの。俺、誤解しちゃうよ? いいの?」
「…………ばっかじゃないの……。心配して言ってるんじゃない」
「何もふることないじゃない。どうせあの子だって他の男と――」
「そこまで」
黙って、というように、宮地が私の唇に指を押し当てた。長くて綺麗なそれに不覚にもどきりとしてしまったのだが、次いで彼が漏らした言葉は、私を呆れさせるには充分なものだった。
「何ムキになってんの。俺、誤解しちゃうよ? いいの?」
「…………ばっかじゃないの……。心配して言ってるんじゃない」

