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小悪魔な狼
第1章 一話 翻弄

「目、つぶって」

 吐息混じりの甘い囁きが耳を擽って、心情とは裏腹に体がびくりと跳ねる。
 じろりと宮地を睨めば、彼は「ん?」と首を傾げて微笑んだ。わざとらしい。わかっているくせに。
 無意識のうちに溜め息が漏れる。

「……なんでもない」
「そう」

 私は仕方なく、言われたとおりに目をつぶった。
 宮地の動く気配。彼の手は、頬から頭へ、ゆっくりと舐めるように滑る。艶っぽい息づかい。擦れる太腿。数拍のちには、耳朶に柔らかい感触と蕩けるような熱を覚えた。

「んっ」

 予想していなかった刺激に、そんな声が漏れる。てっきり唇にされるものだとばかり思っていた私は面食らってしまって、思わず目蓋を押しのけた。
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