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小悪魔な狼
第1章 一話 翻弄
 宮地の指が顎を滑って、そして、唇をなぞった。結んでいたそれは、しかし、彼によっていとも簡単に開かれて、あっさりと侵入を許してしまう。

「んう……」

 冷えた指先に、つつ、と上顎をなぞられ、体がぶるりと震える。強引に口腔内を嬲るその様は、まるで陰茎をそうしているかのようだった。
 少し強い力で舌を押されて、苦しさと共に唾液を吐き出しかける。慌てて口を閉じようとしたが、宮地はそうさせてはくれなかった。

「あ……」

 それは無情にもたらりと溢れ、顎を擽っていく。
 内側から、キン、と体を打たれるような感覚を覚え、一瞬にして全身の血が顔に集中した。
 宮地の手がそっと離れる。次第に視界が明るくなっていって、彼の顔が映った。
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