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第26章 逃走と援護

「美波！美波！！
力を解放して下さい！」


このままでは美波も力の使い過ぎで、私と同じ状態になってしまう。



「美波っ！！」


「・・・えっ！？」


やっと私の方に目を向けた、今まで半分無意識だったという事。



「仁科さん？」


「美波、力を解放して下さい」


「・・・
だって、中に拳銃を持っている女性が‥
拳銃を持っている人は敵、また櫻澤さんのように撃たれてしまうもの・・・」


「「「・・・・」」」


なるほど、これが美波が力を解放しない理由。
拳銃で撃たれた主催を見たせいで、拳銃を持つ者は敵という感情が、美波の中で生まれてしまった。


宮野は助手席に移ったので、私はゆっくりと美波の躰を抱き締める。



「美波‥‥もう車は通り過ぎました‥
拳銃を持った人間は、もう此処には居ません、ですからもう安心して下さい‥‥」


「・・・安心・・・」


「そうです、心を落ち着けて、少しずつ力を解放して‥‥」


「・・・・・・」


本当に少しずつだが、美波の力が収まっていく。
だが、どれだけ美波に、巨大なトラウマを残してしまったのかも、分かってしまった。



「ええ、良いですよ‥
最後に目立ちますから、姿も黒に戻してしまいましょう？」


「あっ！！」


美波の頬に触れ、姿の方は私が誘導する。
何時もの黒髪黒瞳に戻す為に力を込めた。