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それを、口にすれば
第10章 それぞれの想い
「ほら、香里ちゃんよ……。あのときなんて、近くに合宿に来ていたアメフト部に教えてあげたら朝までトイレの前に人だかりができていたじゃない。穴が足りなくて旦那の方まで……フフッ」

香里は、以前夫婦調教していた愛人のうちの一人だ。
彼女も若い頃は有名大学のミスキャンパスとしてメディアにも取り上げられたという美貌の持ち主だったが……倒錯した性癖を持っていた。

あの時、多目的トイレの便座に座らせ、手すりに足を固定した香里を何十人もの男に好きなように使わせた。

明け方に回収しに行ったときには文字通り公衆便所のようになっていて……その状態を見て自分は愉しんでいたのだ。

「……あんなことが愉しかったなんてどうかしていたよ。俺も若かったんだな」

いや、今でも相手によっては愉しめるかもしれない。
それが自分の嗜好なのだ。
しかし、優雨に対してそんなことをするなど考えられない。

汚してやりたいとは思うことはあるが、あくまでも自分の手で、だ。

「……なんて顔してるの? あれも貴方が考えたことよねえ? さすがだわ……貴方は本当に悪い人」

なんて顔とは……余裕がない顔でもしているのだろうか。

「そう絡むな。さあ、風呂に入って来るよ」

実際は何でもないような顔をして席を立つ結城。
いつもの理沙子なら黙って見送るだけなのだが……今日は違っていた。

「ちょっと待ってよ……この間の種付けの感想もぜひ聞いてみたいわ。なんか、ずいぶん困ったような顔をしていたけど……貴方ったら都合よく出張に出てしまって。でも、香里ちゃんも優雨も、本質は同じよ。私たち夫婦にとってただの犬なの。ずっとそうして来たじゃない」

「……」
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