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それを、口にすれば
第11章 求め合う心
後部座席にもう意識が向いていなかった優雨は、結城の言葉にハッとした。

「ああんっ……」

気付けば、理沙子の喘ぐような声が大きくなっていた。
そしてバックミラーに思わず目をやると、良介の上にミニスカートを捲り上げた理沙子が今まさに座ろうとしているところだった。

いや、あれは座るのではなく……。

「ほら、理沙子も」

心なしか厳しいトーンの結城の声が車内に響く。

信じられないことに、二人は後部座席でセックスしようとしていたのだ……。

息を飲む優雨だったが、結城の言葉を受けて二人が身体を離すのが分かる。
もし目前でそんなことが始まってしまったら、きっといたたまれない気持ちになったに違いない。
優雨は結城に感謝した。

しかし、奔放な理沙子だったが、結城の言葉だけは効き目があるようだ。
常に、という訳にはいかないようだが……。

少し間を置いて、打って変わった明るい調子で結城が理沙子に問い掛けた。

「それはそうと、離れを取っているんだろう?」

「そうよ……二部屋押さえているからご心配なく」

シートベルトを締めた理沙子が、ゴソゴソと衣服を整えながら答える。

「それは楽しみだ。ねえ、良介さん」

理沙子の物言いは少し挑発的にも聞こえたが、結城は取り合うつもりはないようだ。

そこからは良介と理沙子中心に、今夜の宿がいかに素晴らしいかという話になっていった。
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