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それを、口にすれば
第11章 求め合う心
風呂場に移動すると、まず目に飛び込んできたのはキラキラとした春の日差し、そして総檜の大きな空間に降りかかるように影を差す木々の緑だった。

その先の庭にはやはり美しい樹木が続いていて……贅沢な空間の使い方に優雨はまた驚かされた。

話題に上っていた露天風呂もまた檜の香りのする大きなもので、マンションの風呂の何倍もある広さだ。

そして風呂桶もかなりどっしりした立派なものだったが……。

「そこに座りなさい。足を開いて」

「ここに……ですか?」

濡れた手拭いで前を隠した優雨は、周りを見渡した。

結城が示している風呂桶はかなり厚みのある檜でできていて、片側には同じく檜の壁もある。
寄りかかって座ることは出来るけれど……結城の命令は〝足を開いて〟と言うものだった。

ここに座って足を開くには、いわゆるM字開脚……それも、かなり大きく足を開く必要があるだろう。

風呂場に差し込む自然の光や爽やかな鳥のさえずりが、優雨に淫らな格好をさせるのを躊躇わせた。

「でも……」

何度見られても、恥ずかしい……。
でも同時に見てもらいたいという思いも突き上げる。

それに、結城の命令は絶対だ。
がっかりさせたくない……。

けれど、こんなに明るく開放的な場所で……。

そんな優雨の心の声はまたもや結城に筒抜けだった。
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