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それを、口にすれば
第14章 絆
「あなた……」

見ると、土下座をしたままの良介の肩が小刻みに震えている。

まさか……泣いているのだろうか。

「でも、そんな大金をただで払ってくれる人なんて……」

と、そこで良介は更に下を向いて押し黙ってしまった。

やっぱり、ただではないんだ……。
でも、それが当たり前だとも思った。

「優雨にひとつだけお願いしたいことがある……人助けだと思って」

人助け……。
本当に信頼できる人なら、やれることはやりたいと思う。
そしてそれで良介が助かるのなら……自分にできることをするのが妻の務めでもあるだろう。

でも、一体どんなことを……。
不安に思う優雨の心に、結城の顔が一瞬浮かんだ。

まずは、話を聞こう……。

「人助けって……どんなこと?」

「その人……娘さんを亡くしているんだ。生きてたら優雨とちょうど同い年の……」

「まあ……」

「で、明日が誕生日らしいんだけど……急だけど、明日一日一緒に過ごして欲しいって」

え?
明日一日……それだけで?
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