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それを、口にすれば
第15章 穢れた時間
ざわざわとした、大勢の人の気配を感じる……。
夢うつつの優雨は、自分がどこで何をしているのか一瞬分からなかった。
恩人の方との食事に……。
そうだ、夫の運転する車に乗って……。
そこまでぼんやりと考えたところで、違和感を感じた。
自分がいるのは、車の中などではない。
手足を伸ばして倒れるように横たわっていて……靴も履いていない。
そして、床はコンクリートのように冷たかった。
驚いた優雨が目を開けるのと、ひとつにまとめられた両腕が上方にゆっくりと引き上げられるのはほぼ同時だった。
突然動いた自らの腕に驚いて見上げると、両腕は革の手錠のようなもので揃えた恰好で拘束されていて、そこから鎖が延び、それは天井にある滑車にまで続いている。
いつの間に、こんなもの……そしてここはなんて眩しいのだろう。
目を細めながら前を見ると、スポットライトのようなものが自分を強く照らしている。
周囲の様子はよく見えないが、目を凝らしてみると……コンクリートの壁がむき出しになった倉庫のような空間に、多くの人影が見える。
そしてその人々は皆、椅子に腰かけてこちらを見つめている様だった。
ライトのあちら側には大勢の人々。
そしてこちら側には自分だけが……自由に動けない状態でコンクリートの地面に倒れている。
これではまるで何かの見せ物みたいだ。
(な、なに、これ……)
夢うつつの優雨は、自分がどこで何をしているのか一瞬分からなかった。
恩人の方との食事に……。
そうだ、夫の運転する車に乗って……。
そこまでぼんやりと考えたところで、違和感を感じた。
自分がいるのは、車の中などではない。
手足を伸ばして倒れるように横たわっていて……靴も履いていない。
そして、床はコンクリートのように冷たかった。
驚いた優雨が目を開けるのと、ひとつにまとめられた両腕が上方にゆっくりと引き上げられるのはほぼ同時だった。
突然動いた自らの腕に驚いて見上げると、両腕は革の手錠のようなもので揃えた恰好で拘束されていて、そこから鎖が延び、それは天井にある滑車にまで続いている。
いつの間に、こんなもの……そしてここはなんて眩しいのだろう。
目を細めながら前を見ると、スポットライトのようなものが自分を強く照らしている。
周囲の様子はよく見えないが、目を凝らしてみると……コンクリートの壁がむき出しになった倉庫のような空間に、多くの人影が見える。
そしてその人々は皆、椅子に腰かけてこちらを見つめている様だった。
ライトのあちら側には大勢の人々。
そしてこちら側には自分だけが……自由に動けない状態でコンクリートの地面に倒れている。
これではまるで何かの見せ物みたいだ。
(な、なに、これ……)