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それを、口にすれば
第15章 穢れた時間
こんな辱めを受けるなんて……。

再び店長が近付いてきて、ハサミを使いながらストッキングの股間部分を割り割く。
たった一枚の透明の薄い布……それが取り払われただけで、一層無防備になってしまうのを感じる。

これで、優雨の恥ずかしい部分を隠すのは濡れた白いショーツのみとなった。

「お願いします……お金は、お金は……何とかしますから……」

「何とかって……もういくらに膨れ上がっていると思っているんだ。それをチャラにしてやろうって言うんだ。優雨ちゃんだから……特別なんだよ?」

急に優しい声音になり、いつも見ていた店長のような優しい表情を浮かべるが……それも今はおぞましいものにしか見えない。
唇を合わせようと店長がまた顔を寄せてくるが、唇をかみしめた優雨は精一杯顔を背けた。

「ふん、そうかい……。ああ、そうだ……旦那の恩人が助けてくれるなんていう戯言をまだ信じている訳じゃないよなあ?」

耳元でそんなことを囁く。

「え……?」

店長がなぜそんな話を知っているのだろう。
……まさか。

「なあんだ、優雨ちゃんは本当に可愛いなあ。まだあの犬のことを信じているのか」

犬……それは良介のことなのだろう。

すると、良介がした恩人の方の話……それが全て作り話だったということなのか。
だとしたらこの状況も、良介は容認しているということになる。

夫には今まで散々酷いことを言われては来たが、嘘の上手いタイプではないと思っていた。
それに一度は愛した人間が、そこまで非道な人物ではないと信じたい……そんな気持ちも優雨にはあった。
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