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それを、口にすれば
第16章 愛しい名前
『さあ、最後のお一人のプレイタイムが終わりました。準備の方はいい感じに出来上がっている様ですね……』

主任のアナウンスがあると、ずっとどこかで見ていたのだろう……ガウンを羽織っていた店長がそれを脱ぎ捨て、こちらに歩いて来る。

「優雨ちゃん、どうだい……? 準備は出来てるかい……?」

「準備……」

優雨には分かった。
それが何を指しているのかを……。

「ううっ……うう……」

それが分かってしまう自分が情けなくて、涙が溢れる。

でも、その言葉を発したら……手足を拘束されたまま、台車の上を大量の精液で汚している良介よりも自分は惨めだと思った。

そう。
責め具は様々だったが、そこに無いものが唯一あった。

それは、勃起した成人男性サイズのディルドやバイブ類……。

用意されていたものはクリトリスを責める道具か、挿入するものに関しては皆特別に細いものばかりだったのだ。

――優雨は、欲しくて堪らなかった――

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