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それを、口にすれば
第16章 愛しい名前
「……さい」

下さい……。
思わずそう口にしそうになり、必死で踏みとどまる。

「何だい? もっと大きな声で……」

店長がニヤニヤしながら革のズボンを脱ぎ捨てると、結城と同じぐらい逞しい……太く長い肉棒が現れた。

ああ……。

「ほら、言わないともらえないよ……」

もう……もう……欲しくて堪らない……。
でも。

「ほらほら、どうしたんだ?」

身体はもう快楽に支配されていて、思うように動かすことすらできない……。
でも、その言葉を口にしてしまったら、自分はもう終わりだと思った。
生きている価値さえない。

自分が支配されたいのは結城だけ……。
奴隷にして下さいと結城に言ったあの日。
愛を口にしたあの日……。

(どうしても、言ってはいけない……)

目を瞑り、必死で歯を食いしばる。
そんな優雨の様子を見て、店長はニヤリと嗤い小さな声で囁いた。

「堕としがいがあるよ、優雨ちゃん……大人しそうな顔からは想像できないぐらい強情だ。でも……おまんこの方はどうかな?」

四肢に力の入らない優雨を店長が担ぎ上げ、台座に上がる。
そして、自らは仰向けに寝転がると腹の上にまたがる様に優雨を座らせた。

「皆さんにお見せするんだ。ヒクついたその穴をな……」

主任が横から現れ、倒れ込みそうになる優雨の身体を支えるのを手伝う。

(でも、身体は……ああ……)

嫌で仕方が無いのに……拒むことができない。

まるで自分の身体ではなくなったように、あの部分だけが期待で濡れそぼっていた。
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