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それを、口にすれば
第3章 淫らな食べもの
「この香りはボルドー、いやブルゴーニュかな……先週の赤が十万だったならこれは……」
適当なことを言っていつもの〝値段当て〟を始める良介。
ご馳走になっておいて失礼なのではないかとやんわり言ったことがあるが、俺はなかなかの目利きなんだぞと言ってその時も良介は譲らなかった。
こういうことが無かったら、この時間がもっと楽しくなるのに……と優雨はまた小さくなった。
「……旨いでしょう、さすがは良介さんです。優雨さんはいかがですか? 今度出す渋谷のイタリアンで扱うんです。メインターゲットは若い女性なので、ぜひご意見がうかがいたい」
向かいに座っている結城が意味有りげな瞳で優雨をじっと見つめる。
もしかすると、先週のワインを飲みにくそうにしていたことを気付かれてしまったのかもしれない……と優雨は思った。
最高級とまではいかない、それでも当たり年の高級ワインだということだったが……優雨にはただ渋いだけに感じたのだ。
そして同時に、先ほど良介が言ったことは的外れなのではないかとも思った。
ボルドーやブルゴーニュはフランスの地名だろう。
イタリアンで若い女性とくれば、イタリア産のお値打ちなワインなのではないだろうか……。
「ほらほら良介さん、私のチーズも食べて? フフフ、こっちの値段も当ててもいいわよ?」
結城の言葉に対する良介の反応を気にしていたが、理沙子の言葉に気を取られた良介は今度はチーズに手を伸ばす。
すぐに理沙子と良介のゲームが始まった。
人付き合いが苦手で臆病なくせに虚勢を張りたがる……厄介な性格の良介だったが、結城と理沙子はそんな夫を上手く扱ってくれる。
優雨はそのことに感心し、とても感謝していた。
適当なことを言っていつもの〝値段当て〟を始める良介。
ご馳走になっておいて失礼なのではないかとやんわり言ったことがあるが、俺はなかなかの目利きなんだぞと言ってその時も良介は譲らなかった。
こういうことが無かったら、この時間がもっと楽しくなるのに……と優雨はまた小さくなった。
「……旨いでしょう、さすがは良介さんです。優雨さんはいかがですか? 今度出す渋谷のイタリアンで扱うんです。メインターゲットは若い女性なので、ぜひご意見がうかがいたい」
向かいに座っている結城が意味有りげな瞳で優雨をじっと見つめる。
もしかすると、先週のワインを飲みにくそうにしていたことを気付かれてしまったのかもしれない……と優雨は思った。
最高級とまではいかない、それでも当たり年の高級ワインだということだったが……優雨にはただ渋いだけに感じたのだ。
そして同時に、先ほど良介が言ったことは的外れなのではないかとも思った。
ボルドーやブルゴーニュはフランスの地名だろう。
イタリアンで若い女性とくれば、イタリア産のお値打ちなワインなのではないだろうか……。
「ほらほら良介さん、私のチーズも食べて? フフフ、こっちの値段も当ててもいいわよ?」
結城の言葉に対する良介の反応を気にしていたが、理沙子の言葉に気を取られた良介は今度はチーズに手を伸ばす。
すぐに理沙子と良介のゲームが始まった。
人付き合いが苦手で臆病なくせに虚勢を張りたがる……厄介な性格の良介だったが、結城と理沙子はそんな夫を上手く扱ってくれる。
優雨はそのことに感心し、とても感謝していた。