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それを、口にすれば
第18章 エピローグ
幸いにも命は取り留めたが、優雨が受けたショックは大きかった。
そして、すぐにでも別れると言っていた結城も夫としてその対応に追われることになった。


――その間にもお腹の子は育つ――


これからどうしていくべきか……。

授かった命を手離すという選択肢は優雨には全く無かった。
でも、この命のために誰かがこれ以上傷付くのは耐えられなかった。

どんな事情があれ、夫ではない男性の子供を身籠ってしまったのだ。
そして、愛情の無くなっていた自分たち夫婦とは違い、理沙子は結城を愛していた……とても、不器用なやり方で。

理沙子のしてきたことについては結城から聞いたが、優雨は彼女を憎むことは出来なかった。
ほんの一時でも、彼女を友人として慕い、心が救われたのは事実なのだから。


もう結城とは会えない――


この命は、自分一人で、自分が護って生きていく……。

それが優雨の出した結論だった。


優雨は、誰にも告げずに家を出た。








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