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それを、口にすれば
第4章 恥ずかしいお願い
そんなことを考えているうちにも酒は進み、もともと酒に強くない優雨はかなり酔っぱらっていた。

しかし改めて結城を見ると、誰よりも飲んでいる筈なのに普段とあまり変わった様子はない。
スリムなジーンズに包まれた足を組み、いつものような涼しい顔で穏やかに酒を飲んでいるだけだ。

(優しくて、気が利いて……本当に素敵な人。こんな人がご主人でうらやましい……)

手が届きそうで届かない距離にいるその人を、優雨はつい見つめてしまっていた。

「……優雨さん、何か言いましたか?」

ぼんやり考えごとをしているうちに、一瞬うとうとしていたらしい。

何かを口走ってしまったのだろうか……と真っ赤になる優雨を、結城がじっと見つめていた。

「あ、あの……私……」

「優雨さん…そんな目で男を見つめてはいけません。何をされるかわからない……」

そんな目って……
何をされるかって……?

「その上、隣であんなものを見せられたら……ね」

「あんな……?」

優雨が横を見ると……そこには、ソファーの上で理沙子と重なり合う良介の姿があった。
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