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それを、口にすれば
第4章 恥ずかしいお願い
大きな手が首の後ろに回され、上を向かされる。

キスをされようとしている……女の本能でそれは分かっていた。
そしてそれを受け入れてはいけないことも。

しかし、優雨の唇は……結城のそれをいとも簡単に受け入れてしまっていた。

吐息ごと飲み込むようなキス。
交わされる唾液……。

心が溶けてしまいそうだ。

キスをされているだけなのに、腰のあたりに力が入らず崩れ落ちてしまいそうになる。
そんな優雨の身体を逞しい腕でしっかりと抱きとめ、結城はさらに激しく唇を吸った。

キスで感じることがあるなんて、優雨は今まで知らなかった。

心ひそかに憧れていた男性に与えられる刺激に身を任せているからだろうか。
それとも、キスに上手い下手があるのだろうか……。

良介以外の男性を知らない優雨には分からなかった。

「ダメです……ダメ……」

ようやく優雨は小さな抵抗を見せたが、結城の口づけを散々受け入れたその身体は更に熱く火照っていた。

優雨の言葉に、結城はキスを止めると正面から優雨の瞳を覗き込む。

その様子に、優雨は動揺していた。

結城は紳士だ。
こんな風に抵抗されたら本当に止めてしまうだろう……。

自分は本当にそれでいいのだろうか?
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