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それを、口にすれば
第5章 封じられた夢、封じられた心
そして結婚前から子供に関しては漠然とした話しかしてこなかったのが間違いだったのだとようやく気付く。
こういう事態に陥った場合のことまで話したことはなかったのだ。

どこの夫婦も皆そんなものだろう……。
しかし、二人の考え方の決定的な違いは、他のことにまで良くない影響を及ぼしていった。

子供もいないのに二人はもう男と女では無くなった。

アラサーと呼ばれる年齢に差し掛かってしまった今、これから何を支えに生きていけばいいのだろう……。
ここ数年、優雨はずっと考え続けていた。

ただ子供が欲しかっただけなのに……そして、女性として当たり前の幸せを。

もしもなかなか授かれないのなら、夫婦2人で慰め合い、励まし合い、努力して……。

それでも望めなければ、夫婦共通の趣味を探したり、一軒家に引っ越して犬を飼ったり……?

何でもよかった。
二人で歩み寄り、支えあえるなら。

けれど二人はもう別々の方向しか見られないようだった。
優雨の心は……そして、その身体も渇いていた。

そんな毎日に突然現れたのが結城夫婦だったのだ。
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