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それを、口にすれば
第6章 気持ちが、あるから
同じ頃、結城は自宅で朝のコーヒーを飲んでいた。
結城の仕事は大小含めて出張も多く、出退勤は割と自由になる方だった。

そこへ、優雨と別れた理沙子が帰ってきた。
朝帰りだ。

「……ただいまあ~あれ、今日はどうしたの? 月曜日よね?」

「ああ、おかえり。客先に直接行こうと思ってね」

それでももう準備を始める時間だったが、理沙子には関係のないことだから話す必要はなかった。

世間一般的な夫婦なら、こんな訳にはいかないだろう。
しかし、結城にとって理沙子はパーティーの席などに同伴するには申し分のない美しい妻だった。それに、最低限の家事だけはやってくれている。

家事など大抵のことは自分でできるし、妻をハウスキーパーのように使うつもりのない結城はそれでいいと思っていた。

が、しかし最近の結城は……。
優雨と週末をともにするようになってからは、家庭的な女性との時間も悪くないなどと考えることがあった。

理沙子に家庭的な要素を感じることは殆どない。
優雨と過ごすことは、結城にとって癒しの時間のようになってきていた。

スワッピングは何度か繰り返してきていることだったが、今のように隣り合った部屋の夫婦同士で親密に過ごすことはなく、相手の女性の手料理なども口にする機会は無かった。

夫婦のような週末を過ごすのが原因で、自分はこんな〝らしくない〟ことを考えるようになってしまったのだろうか?
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