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それを、口にすれば
第6章 気持ちが、あるから
「〝異常〟はないだろう……」

「あら、お気に召さない?」

自分でも不思議なほど理沙子に腹が立つ。

結婚当初から理沙子に過度な期待はしていないし、愛を注いでやっているとは言い難い。
しかし、その代わりに理沙子を非難したりもしてこなかった。

それなのに今は……優雨に対する発言にうんざりしていた。

「もういい。支度をするよ」

こんなことは本当に自分らしくない……。

それは理沙子も感じたのだろうか。
笑みを堪えながら、突拍子もないことを口にした。

「そんなに妊娠させてやりたいのなら、種付けしてやりましょうよ」

「……種付け?」

「面白そうじゃない。優雨を押さえつけてレイプして、良介に中出しさせるのよ。もしデキたら優雨も大喜び。きっと泣きながら感謝するわね。だって、あの二人レスなんだから」

「しかし……」

結城も当然賛同するものと理沙子は思っている様だった。
確かに、以前の自分なら身体の関係しかない女性に何をしようと、それほど気にならなかったかもしれない……。
その証拠に、強制種付けという状況自体には、どこかでそそられている自分もいる。

それなのになぜこんなに戸惑ってしまうのか。

どうしても……レイプなどという卑劣な手段を優雨に使うことは躊躇われた。

「それが優雨の本当の幸せなんじゃないかしら。案外途中からヨガリまくりかもしれないわよ」
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