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それを、口にすれば
第6章 気持ちが、あるから
本当の幸せ……。
優雨が自分に〝母親になる夢〟を話してくれた時に見せた涙を思い出すと、完全に違うとは言いきれない自分に気付く。

らしくない態度で押し黙る結城を見て理沙子が囁いた。

「女の私が言うんだから間違いないわ……。それに、今までも似たようなことをしてきたじゃない。それとも優雨にはやれない特別な理由でもあるの?」

「いや……」

特別な理由……それは無いはずだ。
それに、レイプと言うと聞こえは悪いが、レスの夫に胎内射精させるだけだ。
その上相手は見ず知らずの男なのではなく夫なのだから、優雨も受け入れるかもしれない。
そしてもし本当に子供を授かったら幸せを感じるかもしれない。

優雨と穏やかな時間を過ごしているとつい忘れてしまいそうになるが、優雨は良介のものなのだ……自分のものではない。
もちろん、愛している筈もない……と思う。今までだって、自分はそんな感情には無縁だったのだから。

「決まりっ! 良介には言っておくわね。あとは危険日を計算して……」

優雨のことが気に掛かる気持ちと、どこかで感じてしまっている性的興奮。
もやもやとした気持ち……。
そのどれもが不確かで、妻に対して説明できるようなものは何も無い。

実際にその瞬間を迎えたとき、自分がどんな気持ちになるのか……今の結城には想像もつかなかった。








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