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それを、口にすれば
第2章 一年に一度の言葉
一瞬何が起きたのか分からなかった。
目の前には結城が一人で立っていて……
そして、その指先は優雨の口もとに伸びていた。
「おやつの時間を邪魔してしまって申し訳なかったですね」
指先で摘まんだシナモンケーキの小さな欠片を口に含み、結城はふふっと笑う。
「ん、旨い……」
いくら早く済ませてしまいたいと考えていたとはいえ、口の周りにケーキの欠片をつけたまま応対していたことに気付き、優雨は顔が真っ赤になった。
それに、あの欠片を食べてしまうなんて……。
「お……おやつなんかじゃありませんっ」
「……」
「今日は私の誕生日で……だから、だから自分でケーキを作っただけなんですっ」
何をムキになっているのだろう。
これでは、口の周りが汚れていた説明にはなっていない。
それに一人で誕生日ケーキを焼いて食べていたなんて、自慢できることではない……。
他人を相手に感情的になったことなど無い優雨は、どうしたらいいのか分からなくなった。
すると……
優雨の両肩を、結城の温かく大きな手が優しく包む。
「ああ、身体が冷えてしまいましたね……申し訳ありません。優雨さんとはもう少し話をしていたかったが……そろそろ退散しましょう」
「あ……」
目の前には結城が一人で立っていて……
そして、その指先は優雨の口もとに伸びていた。
「おやつの時間を邪魔してしまって申し訳なかったですね」
指先で摘まんだシナモンケーキの小さな欠片を口に含み、結城はふふっと笑う。
「ん、旨い……」
いくら早く済ませてしまいたいと考えていたとはいえ、口の周りにケーキの欠片をつけたまま応対していたことに気付き、優雨は顔が真っ赤になった。
それに、あの欠片を食べてしまうなんて……。
「お……おやつなんかじゃありませんっ」
「……」
「今日は私の誕生日で……だから、だから自分でケーキを作っただけなんですっ」
何をムキになっているのだろう。
これでは、口の周りが汚れていた説明にはなっていない。
それに一人で誕生日ケーキを焼いて食べていたなんて、自慢できることではない……。
他人を相手に感情的になったことなど無い優雨は、どうしたらいいのか分からなくなった。
すると……
優雨の両肩を、結城の温かく大きな手が優しく包む。
「ああ、身体が冷えてしまいましたね……申し訳ありません。優雨さんとはもう少し話をしていたかったが……そろそろ退散しましょう」
「あ……」