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それを、口にすれば
第9章 けれど、愛してる
「ああ。私も……あの日は見ていて辛かった。こんなことを言うと酷い男だと思われるだろうが……これまでの私では考えられない感情に陥ったよ」

「これまでの……」

やはり、ああいうことを繰り返して来たのだろうか。

「そう。ああいうプレイを好んでしたこともあったんだ。その証拠に、あの日も初めは気分の高揚を感じたよ。だから今も……そういう嗜好があることは否定しない。しかし、あの時私の名前を呼ぶ優雨を見ていたら……」

そこで結城は座ったまま優雨を抱きしめた。

「辛くて堪らない気持ちになった」

「辛いって……」

何をしても完璧に見える結城の、弱音ともとれる発言に優雨は驚いた。

「出張中も、なぜだかどんな景色を見ても、何を食べても、優雨の顔が浮かんだよ。泣いている、優雨の……」

もう十分だと思った。
口にしたら、何もかもが変わってしまうかもしれないけど……それでも伝えたい。

素直に、なりたい。

「結城さん……私を貴方の奴隷にしてください……」







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