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伝わらない想い
第9章 伝えたい想い
「蘭、...俺と一緒に住まないか?」

美容院で蘭の支度を済ませ、昼過ぎ。

純と茜ちゃんの晴れ姿を見届けるため、俺たちは電車に揺られていた。

「...え?」

「二人で...」

「同棲...ってこと?それは...お父さんが許してくれないかも...」
しょぼんとして答える蘭がやけに可愛く見える。

「でも、蘭を一人にさせたくない」

「...陸」

「とりあえず、俺からマスターにお願いしてみるよ」

蘭の笑顔をいつも見ていたい。

蘭を一人にさせたくない、なんて...。
確かにそれもある。

けど、それよりも。
ただ、俺が蘭と離れたくないから。

蘭の存在を、いつもすぐ近くで感じていたい。

俺のそんな我儘を、マスターは許してくれるだろうか…。
でも、もう絶対に離したくないんだ。


俺は、しっかりと蘭の手を握り、流れていく外の景色を見つめた。


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