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伝わらない想い
第7章 素直な気持ち
ふたりがグラスを合わせて飲む姿を見つめる。

純と茜さん...。
美男美女のふたり。

ビールを飲む姿もどこか様になっている。

「蘭、あれから陸来てる?」
純が言うあれ。
2週間前のこと。

「昨日ちょっと来て誰か探してる風だったけど、その一瞬来ただけ」

「あいつにも今日声掛けたんだけどさ…なんか様子がおかしかったんだよな」
純のすぐ後に茜さんがぼそっと「陸さん、来てくれるかな…」と不安そうな声を出した。

「大丈夫ですよ、きっと…。陸は誘われたらよっぽどのことがない限り断れない奴だから」
私の知ってる陸はそんな男だ。

「ま、とりあえず待ってみるか」

「蘭さん、ありがとう」
優しく話す茜さんに、「蘭で良いです」と俯いて答える。

「じゃあ...蘭ちゃん、ね」

顔を上げると茜さんと目が合う。
その瞳に吸い込まれそうになりながら、さっき褒められたアヒージョをふたりの前に差し出した。
「どうぞ」

「ありがとう」

この人が、陸が好きだった人。
好きになった陸の気持ちがなんだかわかった気がした。
私も、たったこれだけのやり取りなのに、心を持っていかれそうになる。
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