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指先
第6章 小さな反撃
遠くから加奈子がカツカツとヒールの

硬い音を立てて令嬢の傍に近寄る。

山岸はエレベーターの降りてくるのを

じっと見ている。加奈子に背を向けていた。


ボスッ…カチャ…ンっ

山岸は自分の背中に何か投げられたのはわかった。

転がったのはなんと…

ローター。

「酷い!もう私には用無しなのね。

これも返しておくわ!」

「うわっ、何でこんな時に…」

山岸はローターに目をやる。

「こんな時だから言うのよ!」

加奈子は顔を赤くして暴走している。


「ふふっ…昌也 玩具使うの好きなの?」


令嬢は動揺しながらもニヤニヤする。

「所詮、この一般人は遊び相手だったのよね?昌也?

私は別に玩具も受け…」

「加奈子。」

「え?」

令嬢は口が開いている。

「加奈子、コレ投げるのあと3日絶えてくれたら

良かったのになぁ。」

山岸はしゃがんでローターを拾う。

「これ(ローター)使う相手は1人充分です。」

「え?」

加奈子は訳がわからない。

「すみません。」

山岸は令嬢にスッと頭を下げた。

「こんな突拍子もない。真っ赤な顔して怒る

コイツが呆れるくらい好きなんです。

食事会で貴方との縁談を断るつもりでしたが、

ここで断らせて下さい。」





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