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恋の行方を探してください【完結】
第20章 【二十話】女嫌いな三男
 そういうと真那は大きくため息を吐いて、美哉が手のひらで包んでいる紙カップに視線を向けた。

「わたし、三男にスカウトされてここに来たって話をしたじゃない」
「はい」
「それもね、ちょうど就職が決まったタイミングでいきなり声をかけて来たのよ、三男」
「……え」
「死ぬ思いで就職活動して、やっと会社が決まったところによ? しかも第一声が、『君みたいなきのこはどこも雇ってくれないだろうから、俺のところで雇ってやる』よ? ひどいと思わない?」
「……色々と、ひどいですね」
「でしょ? だから言い返してやったの。『わたし、きのこじゃないし、それにもう、就職決まりましたから。一昨日来やがれっ!』って。そうしたら、いきなり私の前に座って、不遜な笑みを浮かべたまま、『一昨日きやがれと言われたから、俺は二日後の未来から来たんだ!』と言うなり、小早川の機密事項を淡々と話し始めたのよ」
「…………」
「席を立とうとしたら、腕をつかまれるし、でもさ、指先がすっごく冷たいし、震えてるし、態度と内心が違ってる気がして、結局わたし、そのまま最後まで聞いてしまったわけよ。わたし、絆されちゃったんだろうね、三男に」

 その話を聞いて最初に思ったのは、今と昔とやっていることが変わらない、だった。
 態度はふてぶてしいのに、内心はそうではないのか、触れると緊張している様が伝わってきて、断れなくなってしまうのだ。

「『君は小早川の秘密を知ったから、統括事務局に勤めなくてはならない、さあ、今すぐ、内定をもらった会社に断りの電話を入れるんだ!』って言われて、その場で電話を掛けさせられたのよ……。従うわたしもわたしだけど、でも、結果的にはよかったと思ってるの」
「そう……なんですか?」
「えぇ。だって、ここで愛しいだんなさまと知り合うことができて、馬鹿だけどかわいい息子を三人も得ることができたもの。悔しいけど、これは三男のおかげなのよ。しかもあいつ、馬鹿だからさ、この中に保育所を作ったのよ。わたしのために」
「……ばかだ」
「でしょう? わたしが休むと困るんですって。おかげで何年も旅行に行ってないのよ!」
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