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恋の行方を探してください【完結】
第39章 【三十九話】勝千代に婚約者
勝千代に告白をしようとした美哉は、勝千代に制されて、口を閉じた。
「昨日も言ったけれど、おれ、美哉さんのこと、すごく好きなんだ」
「……はい」
「付き合って欲しいって思うほど、すごく好きなんだ」
「……私も、です」
「え……? あれ、由臣は?」
「どっ、どうしてそこで由臣さんの名前が出てくるんですかっ」
「いやー、どう見てもおれより由臣との方が釣り合いが取れてるから……」
「そんなことないです! 私は勝千代の方がっ」
「それ、ほんと?」
「はい」
「……嬉しい。……けど、美哉さん、ごめん。今日、急に断れない見合い話が来たんだ」
「え」
「美哉さんのこと、すごく好きなんだ。でも、おれとは……」
「…………」
断ることができないお見合いということは、もうすでに結婚が決まったようなものではないか。
「そっかぁ……。おめでとう……?」
疑問系で口にしながらも、なぜかそれがしっくりくることに気がつき、美哉は戸惑った。
美哉は勝千代が好きで、告白をしようと思ったほど好き、だったはず。それなのに、どうしてだろう。別の女性と結婚するというのに、悔しいという気持ちがまったくわき上がってこなかった。それよりも、勝千代が美哉とは別の女性と結婚する、ということに対して、嬉しいとさえ思ってしまったのだ。その気持ちに、美哉は戸惑いを覚えた。
「あぁ、ありがとう」
お互い、向かい合ったまま、妙な沈黙が二人の間に落ちた。
「あの、美哉さん」
「……はい」
断られたのに嬉しいなんて、自分はマゾだったのだろうかと悩んでいると、勝千代に名前を呼ばれて、どきりとした。
やっぱり胸が高鳴るのだから、好きという気持ちに偽りはない。そう思うのだけど、そこでなぜか由臣の先ほど見た、切ない表情を思い出して、苦い気持ちが広がった。
それを振り払うように頭を振って、美哉は勝千代を真正面からじっと見た。
改めて勝千代の顔を見ると、かっこいいというよりは美しいと言った方がよい造作をしていて、好きな顔だなと美哉は思わずうっとりと見ていた。
「そんなに見つめられると困るんだけど」
「あ……ごめんなさい」
といいつつも、美哉は思わず、勝千代の顔に手を伸ばした。
「美哉さん?」
「……うん」
「昨日も言ったけれど、おれ、美哉さんのこと、すごく好きなんだ」
「……はい」
「付き合って欲しいって思うほど、すごく好きなんだ」
「……私も、です」
「え……? あれ、由臣は?」
「どっ、どうしてそこで由臣さんの名前が出てくるんですかっ」
「いやー、どう見てもおれより由臣との方が釣り合いが取れてるから……」
「そんなことないです! 私は勝千代の方がっ」
「それ、ほんと?」
「はい」
「……嬉しい。……けど、美哉さん、ごめん。今日、急に断れない見合い話が来たんだ」
「え」
「美哉さんのこと、すごく好きなんだ。でも、おれとは……」
「…………」
断ることができないお見合いということは、もうすでに結婚が決まったようなものではないか。
「そっかぁ……。おめでとう……?」
疑問系で口にしながらも、なぜかそれがしっくりくることに気がつき、美哉は戸惑った。
美哉は勝千代が好きで、告白をしようと思ったほど好き、だったはず。それなのに、どうしてだろう。別の女性と結婚するというのに、悔しいという気持ちがまったくわき上がってこなかった。それよりも、勝千代が美哉とは別の女性と結婚する、ということに対して、嬉しいとさえ思ってしまったのだ。その気持ちに、美哉は戸惑いを覚えた。
「あぁ、ありがとう」
お互い、向かい合ったまま、妙な沈黙が二人の間に落ちた。
「あの、美哉さん」
「……はい」
断られたのに嬉しいなんて、自分はマゾだったのだろうかと悩んでいると、勝千代に名前を呼ばれて、どきりとした。
やっぱり胸が高鳴るのだから、好きという気持ちに偽りはない。そう思うのだけど、そこでなぜか由臣の先ほど見た、切ない表情を思い出して、苦い気持ちが広がった。
それを振り払うように頭を振って、美哉は勝千代を真正面からじっと見た。
改めて勝千代の顔を見ると、かっこいいというよりは美しいと言った方がよい造作をしていて、好きな顔だなと美哉は思わずうっとりと見ていた。
「そんなに見つめられると困るんだけど」
「あ……ごめんなさい」
といいつつも、美哉は思わず、勝千代の顔に手を伸ばした。
「美哉さん?」
「……うん」