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恋の行方を探してください【完結】
第45章 【四十五話】突然の別れ

*
執務室に入ると、由臣はいなかった。隣の寝室を覗いてもいなかったため、美哉は三階の事務室へと向かったが、ここにもいなかった。四階にいるとも思えず、二階に降りると、暗闇の中、応接間のパーティションの向こう側に、こちらからは背中しか見えなかったけれど、由臣が立っていた。
だけど、どこがどう違うとはっきり言えないけれど、美哉は違和感を抱いていた。
「由臣さん?」
そう声を掛けた後、そういえば先ほどまで着ていた服と違うのだと気がついた。違和感の正体はそれだったようだ。
ダークスーツを着込んだ由臣を見て、美哉は首を傾げながら、もう一度、声を掛けた。
「由臣さん、今からどこかに出掛けるんですか」
そう声を掛ければ、由臣は美哉に背を向けたまま、首を振った。
出掛けるわけではないということなのだろうか。それならどうして、スーツを着ているのだろうと疑問に思っていると、由臣は背を向けたまま、口を開いた。
「美哉、別れよう」
「……えっ?」
「おれはおまえに無理強いばかりした」
先ほど、車の中でもそんなことを言っていたけれど、まさかの言葉に美哉は言葉を失った。
吟太に言われて、由臣の想いを受け入れようと思った矢先に、別れようなんて言われて、どうすればいいのか分からなかったのだ。
「美哉のカバンはここにある。寮の部屋も残っていて、問題なく使える。ただ、近日中に出て行って欲しいと言われていると聞いている。部屋の手配が必要なら、おれが迷惑をかけたお詫びとして、どこかに用意する」
「……由臣、さん」
「ここを出て行きたかったんだろう? 御庭番がいないうちに出て行かないと、引き止められるぞ」
「…………」
執務室に入ると、由臣はいなかった。隣の寝室を覗いてもいなかったため、美哉は三階の事務室へと向かったが、ここにもいなかった。四階にいるとも思えず、二階に降りると、暗闇の中、応接間のパーティションの向こう側に、こちらからは背中しか見えなかったけれど、由臣が立っていた。
だけど、どこがどう違うとはっきり言えないけれど、美哉は違和感を抱いていた。
「由臣さん?」
そう声を掛けた後、そういえば先ほどまで着ていた服と違うのだと気がついた。違和感の正体はそれだったようだ。
ダークスーツを着込んだ由臣を見て、美哉は首を傾げながら、もう一度、声を掛けた。
「由臣さん、今からどこかに出掛けるんですか」
そう声を掛ければ、由臣は美哉に背を向けたまま、首を振った。
出掛けるわけではないということなのだろうか。それならどうして、スーツを着ているのだろうと疑問に思っていると、由臣は背を向けたまま、口を開いた。
「美哉、別れよう」
「……えっ?」
「おれはおまえに無理強いばかりした」
先ほど、車の中でもそんなことを言っていたけれど、まさかの言葉に美哉は言葉を失った。
吟太に言われて、由臣の想いを受け入れようと思った矢先に、別れようなんて言われて、どうすればいいのか分からなかったのだ。
「美哉のカバンはここにある。寮の部屋も残っていて、問題なく使える。ただ、近日中に出て行って欲しいと言われていると聞いている。部屋の手配が必要なら、おれが迷惑をかけたお詫びとして、どこかに用意する」
「……由臣、さん」
「ここを出て行きたかったんだろう? 御庭番がいないうちに出て行かないと、引き止められるぞ」
「…………」

