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恋の行方を探してください【完結】
第45章 【四十五話】突然の別れ

階段を降りて、駅へ向かっていると、真正面から見たことのあるスーツ姿の男がこちらへ歩いて来ていた。その距離、三メートルほどだろうか。それでも、ぞわっと全身に鳥肌が立つのが分かった。
男性が側にいれば鳥肌が立っていたけれど、それも手を伸ばせば届く距離の時だけだ。これだけの距離があれば、今までなら立つことがなかったのに、やはり悪化しているのだろうか。
向こうから歩いて来ているのは、何度も名前だけ出てきたことのある、弓月当麻(ゆづき とうま)だった。
彼はいつも移動は車で、必ず周りにお付きの者を従えていたのに、今はなぜだか一人だった。しかも、美哉の姿を認めると、嫌な笑みを浮かべつつ、真っ直ぐに向かってくるではないか。
美哉はあまりの出来事に首を振り、当麻から遠ざかろうと身体を反転させたのだが、後ろからは黒服の男たちが向かって来ていた。
まさか当麻と由臣が結託して、美哉を事務所から追い出したのだろうか。
いや、そんなことはない! と美哉は首を振り、左右を見回して、近くに路地を発見した。
美哉は後先考えず、路地に飛び込むと、そちらにも見知らぬ男性がいた。
「おっと!」
「きゃっ、ごめんなさいっ!」
大人二人がどうにかすり抜けることができるほどの路地だったので、美哉は慌てて建物に身体を寄せたが、男性は避けるどころか美哉に身体を寄せてきた。
ところが、だ。
その男性が近寄ってきても、鳥肌が立たなかったのだ。
どうして? と思っていると、男性は美哉の身体をぎゅっと抱きしめて来た。
「あのっ」
「だれかに追われているのか?」
その一言に、美哉は大きくうなずいた。
「あんた、宇佐見美哉、だろう?」
「な……ど、して」
「逃がしてやるから、後でヤラせろ」
「えっ」
男性が側にいれば鳥肌が立っていたけれど、それも手を伸ばせば届く距離の時だけだ。これだけの距離があれば、今までなら立つことがなかったのに、やはり悪化しているのだろうか。
向こうから歩いて来ているのは、何度も名前だけ出てきたことのある、弓月当麻(ゆづき とうま)だった。
彼はいつも移動は車で、必ず周りにお付きの者を従えていたのに、今はなぜだか一人だった。しかも、美哉の姿を認めると、嫌な笑みを浮かべつつ、真っ直ぐに向かってくるではないか。
美哉はあまりの出来事に首を振り、当麻から遠ざかろうと身体を反転させたのだが、後ろからは黒服の男たちが向かって来ていた。
まさか当麻と由臣が結託して、美哉を事務所から追い出したのだろうか。
いや、そんなことはない! と美哉は首を振り、左右を見回して、近くに路地を発見した。
美哉は後先考えず、路地に飛び込むと、そちらにも見知らぬ男性がいた。
「おっと!」
「きゃっ、ごめんなさいっ!」
大人二人がどうにかすり抜けることができるほどの路地だったので、美哉は慌てて建物に身体を寄せたが、男性は避けるどころか美哉に身体を寄せてきた。
ところが、だ。
その男性が近寄ってきても、鳥肌が立たなかったのだ。
どうして? と思っていると、男性は美哉の身体をぎゅっと抱きしめて来た。
「あのっ」
「だれかに追われているのか?」
その一言に、美哉は大きくうなずいた。
「あんた、宇佐見美哉、だろう?」
「な……ど、して」
「逃がしてやるから、後でヤラせろ」
「えっ」

