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恋の行方を探してください【完結】
第7章 【七話】鳥肌が立つ理由
そういうと同時に、勝千代は床に頭を擦りつけるほどの勢いで頭を下げてきた。なにこれ、と思ったけれど、きっとこれは受け入れなければ、切腹でもしかねない勢いだったので、美哉は由臣の腕の中から抜け出した。
途端。
ぞわり……と立つ鳥肌。
今まで、由臣の腕の中にいる間、すっかり忘れていたけれど、鳥肌が立っていなかったようだったのだ。
驚いて由臣を見ると、片眉を上げられた。
「勝千代の処遇、どうするんだ? そいつはおまえの部下だぞ。好きにすればいい」
「好きにって……! だってっ」
「なにか勘違いしているから言っておくが、俺は与頭だったわけじゃないぞ」
「……え」
「与頭の代理だったわけだ。それで、事情があって今まで、与頭は不在だった。だからこそ、こいつらはようやく現れた組頭に感極まっているんだ」
与頭が不在だった……?
「御庭番は確かに小早川の者を護衛するために存在している。しかし、一番の役割は、与頭を守る組織である、ということだ」
「へ? なんだかそれ、矛盾してませんか?」
「してない。御庭番のトップである与頭を守るのは、御庭番の役割だ」
そう言われれば、なんだか煙に巻かれた気分になるけれど、納得する部分もある。
「そもそも与頭は、小早川の当主の伴侶がなるものだったんだ」
「当主の、伴侶……?」
「あぁ。俺の母が前与頭だったんだが……色々あってな。俺に強権発動させられて、強引に代理にされた」
「…………」
ということは?
「え? さっき、由臣さん、小早川の三男って言いましたよね?」
「言った」
「次の当主って?」
「俺の兄だ。ちょっと不測の事態が起こって、与頭に関してはややこしいことになっているんだ」
「……はぁ」
「でもまあ、親父の承認も、次期当主である長兄の承認も取れている」
美哉は眉間にしわを寄せた後、由臣を睨み付けた。
「由臣さんのお兄さんですが」
「あぁ」
「ご結婚は」
「していた。娘が一人いる」
「は? どういうこと……ですか」
「兄貴の奥さんだが、元々身体が弱い人で、子どもを産んだ後、身体を壊して、亡くなった」
「……え」
「ということで、だれもなり手がなくて、俺が代理を務めていた」
途端。
ぞわり……と立つ鳥肌。
今まで、由臣の腕の中にいる間、すっかり忘れていたけれど、鳥肌が立っていなかったようだったのだ。
驚いて由臣を見ると、片眉を上げられた。
「勝千代の処遇、どうするんだ? そいつはおまえの部下だぞ。好きにすればいい」
「好きにって……! だってっ」
「なにか勘違いしているから言っておくが、俺は与頭だったわけじゃないぞ」
「……え」
「与頭の代理だったわけだ。それで、事情があって今まで、与頭は不在だった。だからこそ、こいつらはようやく現れた組頭に感極まっているんだ」
与頭が不在だった……?
「御庭番は確かに小早川の者を護衛するために存在している。しかし、一番の役割は、与頭を守る組織である、ということだ」
「へ? なんだかそれ、矛盾してませんか?」
「してない。御庭番のトップである与頭を守るのは、御庭番の役割だ」
そう言われれば、なんだか煙に巻かれた気分になるけれど、納得する部分もある。
「そもそも与頭は、小早川の当主の伴侶がなるものだったんだ」
「当主の、伴侶……?」
「あぁ。俺の母が前与頭だったんだが……色々あってな。俺に強権発動させられて、強引に代理にされた」
「…………」
ということは?
「え? さっき、由臣さん、小早川の三男って言いましたよね?」
「言った」
「次の当主って?」
「俺の兄だ。ちょっと不測の事態が起こって、与頭に関してはややこしいことになっているんだ」
「……はぁ」
「でもまあ、親父の承認も、次期当主である長兄の承認も取れている」
美哉は眉間にしわを寄せた後、由臣を睨み付けた。
「由臣さんのお兄さんですが」
「あぁ」
「ご結婚は」
「していた。娘が一人いる」
「は? どういうこと……ですか」
「兄貴の奥さんだが、元々身体が弱い人で、子どもを産んだ後、身体を壊して、亡くなった」
「……え」
「ということで、だれもなり手がなくて、俺が代理を務めていた」